2014年7月27日日曜日

森本の背中が山中の闘志に火を付けた(たぶん)。(第23節Vファーレン長崎)

  ジェフにとって最も相性が悪い相手・長崎。チームというより敵将・高木琢也との相性が悪すぎる気がしますね。関塚新監督になって調子は上向きで、ゲームの内容も目に見えてよくなってきて、しかもホーム・フクアリならばどんな相手でも(平塚でも!)そうそう負けないだろうという期待は高く、いくら相性が悪くても下位に沈む長崎には負けは許さん!という空気がありました。

  しかし出場停止が今節は3名もいて、その中に現在のチームの攻撃と守備を支える最大のスター2名・ケンペスとキムヒョヌンが含まれるという危機的状況でした。この2人が居ないとチーム全体が相手に「格負け」してしまう展開になりやすく、この2人が相手の脅威になるセットプレーも完全に迫力不足・・・しかも谷澤不在で左サイドの連動性が低く、山中や中村が粘ってファウルを何度も貰っていたので、通常ならば絶好のチャンスとなる左からのFKも不発に。

  そして長崎の新戦力イ・ヨンジェの突進は凄かった!キムヒョヌンがいれば、こういうタイプには強いので、当たり負けずに抑え込んだかもしれないですが、186cmのポストプレーヤーながら一瞬で前を向くスピードは圧巻で、JリーグにはあまりいないタイプのFWでした。浦和のワシントン?甲府で活躍したハーフナーマイク?・・・いやいやジェフのレジェンドの1人チェ・ヨンスかな。ジェフもこういうFWを獲るべきでしょう!敵ながら天晴れとか思っていたら!ジェフのメンバーにもスゲーのが居た!速いし!強い!なんだこれ!?

  この試合の森本さんは熱かったですね!前半45分はほぼ何も出来なかったジェフの2列目の3人(山中・大塚・井出)が、もっと早く森本の好調さに気がついて動けていれば良かったんですが・・・。長崎もすぐさま「今日の森本はヤバいぞ!」とばかりに守備の警戒レベルを上げてしまったので、前半途中からあまりボールが入らなくなってしまったのが残念でした。欧州帰りの相手FWイ・ヨンジェも凄かったですが、森本だって欧州帰りでしかもセリエAでゴールを幾つも挙げてるストライカーでしたね!相手FWのプレーに反応して欧州でのプレースタイルが甦ってきたかのようでした!

  今日のジェフの2列目は実戦経験の少なさを露呈してしまいましたね・・・。ゲームの流れが目まぐるしく変わり、ピンチの連続と思いきや突如として森本がキレたかのように鬼の形相で単騎で切り込んでいく展開に全く付いていけてなかったですね。完全に「たられば」ではありますが、この試合に出場可能なジェフの選手でこういう展開で一番実力を発揮するのは佐藤(勇)だったと思います。いまだにオシム時代のイメージを引きずっているかもしれませんが、最近の出場ゲームでも攻め上がりのタイミングは抜群に良いと感じることが多々ありました。森本がチェーシングしてゴール前にこぼれたところに背番号「7」が!!!というシーンをジェフファンは望んでいますよ!

  後半に1点ずつを獲りあって、次第にハードワークの長崎の運動量が落ちてくると、にわかに始まった「兵働ワンマンショー」はすばらしかったです。味方の攻めあがりのスピードや、長崎の守備陣形をすべて計算に入れた上で、とんでもないところをズバズバとパスを通してました。まるで往年の中田英寿氏のキラーパスを編集した映像を見ているようで、直線的な「グラウンダーパス・アート」というべきパスに「おお〜!」っと興奮しつつも・・・ふと我に返って「とりあえず1点取って勝ってくれ!」と。これの繰り返しでした。ケンペスがいれば決めてくれたかな・・・。

  ちょっと残念だったのがベンチワークで、田中の投入はもちろん待ち遠しかったのですが、ちょっとエンジンがかかり始めた大塚が直後に交代でやや疑問でした。そもそも田中が先発で!という作戦で良かったように思います。長崎に押し込まれるという考えが無かったのかな?右SBに入った竹内は守備重視型のSBとしてならばジェフで屈指の安定感がありますから、その前方で田中選手をスプリントさせる方が、森本選手にスペースが出来て生きる展開だったように思います。試合をベンチで見つつテンションを上げた大塚がすんなり試合を決めるプレーをするという想像をしてしまいます。

  水曜日にガンバのゲームを見ていたのですが、米倉がガンバの新戦力パトリックを上手く使っているのが印象的でした。去年の米倉はもっぱら使われる側の選手だったのですが、ガンバに入って芸風がだいぶ変わってきています(相変わらず守備が・・・)。去年の内にこのタイミングの良い縦パスをマスターしていたら、森本との強烈なコラボがあったかな・・・なんて思ってしまいました。ジェフの右SBも様々なオプションが考えられるので、ここに一皮むけた選手が登場すれば、さらに強いジェフになりそうな予感がします。



ジェフ1−1長崎  得点者(ジ)山中  (長)奥埜

  



  

  

2014年7月25日金曜日

関塚ジェフにみなぎる全能感(第22節栃木FC)

  いよいよ2014シーズンも後半戦になりました。なかなか厳しいのではないかと思われたアウェーの栃木戦でしたが、常に優位た立場のまま90分をコントロールして勝つべくしてあっさりと勝ってしまいました。新生ジェフの攻撃パターンがまだ解らない相手チームからしてみれば、前半2分の先制パンチを喰らい、その後も狙いが絞れないまま負けてしまった・・・といったところでしょうか。

  関塚監督になってから戦術的に全く新しくなったという印象はないのですが、ケンペスのコンディションが確実に上がってきたことで、チーム全体が自信を持って前を向けるようになったのが大きい感じがしました。前線のケンペスと最後尾のキムヒョヌンが常にチームの為に体を張っているのが、今のジェフの最大のストロングポイントで、とりあえずJ2チームが相手ならば、相手のバイタルでケンペスが暴れることでチャンスが広がりますし、自陣のパイタルはキムヒョヌンが支配しているので、相手の決定的なチャンスはカウンター以外はほとんど無くなりました。

  さらに大岩・中村の両SBもフィジカルの水準はJ1で十分に戦えるレベルにあるので、サイドでの局地戦もここ数試合は常に優勢に立っています。4隅にフィジカルに優れた選手を配し、その間のプレーエリアに足元が得意な選手が詰め込まれているのが今のジェフの特徴で、パスの質がやはり相手よりも数段上です。森本を含む2列目の3人と、両ボランチと山口(智)の計6人はスタミナ面など不安な要素はありますが、高い技術でプレーに余裕がありますので、チーム戦術が大きく頓挫する時間帯が少なくなっています。

  スタメンは今後も流動的な要素は残していて、戦術的にハマれば最強の攻撃の切り札になるであろうジャイールも復帰加入を果たしました。前後左右の4方向に入る"フィジカル"プレーヤーが欠けるとチームバランスが悪くなりそうなので、各ポジションに2人ずつ確保できれば理想ですが、現状では最終ラインでキムヒョヌンの代役が務まる選手が見当たりません。大岩・竹内の両名が一応の候補ですが、今季はまだCBで機能している姿を見てないのが不安です。右SBの大岩を補完するのが田中で、左SBの中村の代わりはジャイールか山中のどちらかになりそうです。

  ケンペスの代わりはやはりジャイールか田中のどちらかですね。このポジションに戸島・オナイウの期待の若手FW陣が候補に上がればいいのですが、まずは実戦で見ないことには・・・。しかしケンペスは今季早くも8枚目のイエローカードで2試合の出場停止という緊急事態で、しかも相手は大型補強の難敵・長崎!これまでさんざん恩返し弾を喰らってきたジェフとしては深井さんからの強烈な一撃に注意したいですが、キムヒョヌンの183cmが最高のジェフのフィールドプレーヤーにとっては脅威となるビッグな選手が並ぶ長崎の攻撃陣を跳ね返すことができるのか!・・・オーロイがいた時代が懐かしいですね。


栃木FC0−2ジェフ千葉  得点者 (ジ) 井出、ケンペス

2014年7月6日日曜日

豪快に4発快勝そして森本貴幸の蘇生 (第21節大分トリニータ)

  第19節・第20節と連続して0-1の敗戦が続き、さすがに悔し過ぎて何も書けなかったです。負けるゲームから学ぶことはいくらでもあるでしょうが、この2試合のジェフはゲームを支配しつつもシュートを外しまくるという愚行を180分間も続けました。京都に快勝したことで有頂天になり過ぎたか?・・・愚かすぎる。山瀬・大黒といった代表クラスの実力者を擁するチームには全力で立ち向かうけど、松本や福岡といった相手に対しては油断こそしてないでしょうけども、どうも力が入っていません。集中力の問題かな?という気がします。

  今節は「連敗」と「谷澤の負傷離脱」を受けて、スタメンおよび戦術を一部変えてきました。結果が出てないのに井出を使い続けるのはチームにとって必ずしもプラスにならないだろうと思っていた矢先のスタメン落ちで、谷澤&井出"テクニカル"コンビの代わりに、森本&田中の"フィジカル"コンビを使ってきました。その他は同じメンバーで、勝ち負けに関わらず圧倒的なボール支配率を毎試合誇っている兵働&大塚のコンビネーションを軸に、前線とサイドに球際の強い選手が配されました。

  兵働が大塚や佐藤(健)との細かいパス交換からリズムを作って、サイドの深いところにロングの浮き球を配給できるのがポイントのようです。今年のジェフは圧倒的に左サイドからの攻撃が多いと言われていますが、今日は1点目、2点目、3点目と全て右サイドからの仕掛けでした。ここまでスカウティングと違う戦術で攻撃を仕掛けられては相手チームもひとたまりもないですね。いきなりの"左足"クロスから先制点をアシストして自信を持ったようで、今日の田中は一貫して迷いがなかったですね。

  とにかく球際に強い選手が多いと攻撃に迫力がありますね。大塚はちょっと苦しいものがありましたが、森本&田中のコンディションが良かったこともあるでしょうが、ケンペス並みの強さを発揮してくれてだいぶ試合が楽になりました。兵働のロングパスが50:50のボールだとしても、かなりの確率でマイボールにできるというのが大きいです。大分には失礼ですが、この攻撃がJ2屈指レベルのDFにどれだけ通用するかが後半戦の関塚ジェフの行方を左右しそうです。

  森本、田中、山中が次々と結果を出したので、チーム編成もいろいろと悩ましくなりそうです。兵働&大塚の軸を残して、谷澤(&井出)をベンチに座らせる編成になるんでしょうか。それとも新戦力が発表されて関塚色の強いスピーディな攻撃を繰り出すチームに生まれかわるのでしょうか?


大分トリニータ2ー4ジェフ千葉  
得点者 (大)風間、高木  (ジ)森本2、ケンペス、山中

2014年6月15日日曜日

久しぶりの"ケンペスday"で快勝(第18節京都サンガ)

  W杯の日本の初戦は残念ながら負けてしましました。どうも南半球ということでいつもの調子が出なかったみたいですね。まあ2010年も南でしたが。これまでのチームの流れからやや楽観していた部分もあったでしょうし、香川・岡崎と緊張している選手も多かったように感じました。大久保を先発させた方が良かった? 森重がイエローもらってナーバスになったところに、ドログバが投入され相手のオプション戦術(攻撃的選手が4→5)でマークがハッキリしない中で2点取られてしまいました。相手のラムシ監督は素晴らしい策士でした。そういえば彼がインテルで選手として頑張っていたころにセリエAナンバー1監督と言われたのがザッケローニでしたね。

  さてそんなモヤモヤのW杯とはうって変わって、ジェフは好敵手サンガをホームに迎えて、見事3-0の血祭りに挙げました。今日の日本代表と同ようにパスミスやクロスの精度に難があり、攻撃が噛み合わず得点機を演出できない時間が長かったですが、今節のジェフはチーム全員が守備を楽しんでいるかのように、「インターセプト・ショー」を展開しました。ケンペスも井出も谷澤もどんだけ守備の練習してんだ?というくらいに上手くなってますね!それでも守備の安定感や、奪った後に攻撃につなげる落ち着きで群を抜いて存在感を発揮したのがキムヒョヌンですね。大黒選手・山瀬選手といったJ1上位チームでもスタメンになれそうな手練を完全に抑え込みました。守備崩壊と伝えられる韓国W杯チームでももし入れるなら即戦力になれそうな勢いでした。

  チームの守備意識が高過ぎると攻撃のやり方を忘れてしまうかのように、井出・谷澤のドリブルが影を潜め、有効な攻撃のほとんどが中村・大岩の両SBがらみのサイドで数的優位を作ってCKを貰うという戦術。CKからの決定力が極めて低いのが悩みのジェフですが、今日は貴重な先制点が兵働のCKがケンペスにドンピシャで決まりました。この1本のCKで気を良くした様子で、ジェフ戦に燃える工藤浩平の執拗なチャージを受けながらもジェフのペースを維持する原動力になったのが大きかったです。ちょっとやられているように見える時間もありましたが、兵働&佐藤(健)とキム&山口(智)のセンターラインが最後まで主導権を譲らず、見事にクリーンシートを達成しました。

  ちょっと気がかりなのが、京都戦ということでテンションが上がったせいか谷澤が個人プレーに走り過ぎてしまったのが、攻撃が単調に見えてしまった原因のような気がします。中村との距離感はややギクシャクしていましたし、今日は前を向くことばかりに気を取られていて、井出を見る余裕が無かったような気がします。谷澤のサポートを受けてこれまで躍動してきた井出は今日はまったくチャンスに絡めず、兵働が中盤を支配するための「ボール一時預かり所」的な役割がやっとこなせていたくらいでしょうか。谷澤と井出のピッチを広く使うコンビプレーは、今シーズンすでに幾度となく「美しい攻撃」を奏でてきて、それを見たくてフクアリに来ている人も多いと思うので、ちょっと厳しいですが、昨日は2人とも期待ハズレでした。

  その一方で僅かな出場時間(5分ほど)で、存在感を見せつけたのがナムスンウで、得意技の「3Dパス」を炸裂させたり、緩急をつけたドリブル&ワンツーで中央突破を図り惜しいシュートも繰り出しました。疲労の大塚をフル出場させたのも、大塚&ナムの「ゴールデンコンビ」を試したいという意図があったようです。去年のどの試合だったか忘れましたが、この2人がFW不在のチームを牽引して勝った試合がありましたが、2人の才能が特別な調和を生み出した鮮烈なイメージが残っています。谷澤&井出が「日向小次郎&沢田タケシ」なら、大塚&ナムは「大空翼&岬太郎」といったところでしょうか。また大塚のエリア外からの「ドライブシュート」が見たいです。

  次節はまた九州遠征さらにフクアリホームを挟んでまた九州・・・。メインスポンサーがJR東日本だけに、新幹線使っているんですかね?前節の福岡戦もやや疲れが見えました。今シーズンは九州では2戦2敗。去年は「九州大好きケンペス」が完全に沈黙してしまってします。相手は現在のところ順位が上位の北九州ですから、自動昇格の2位を目指すなら絶対に勝っておきたいです。できればジュビロと2ゲーム差(勝ち点6差)で前半戦を折り返せたら良いのですが・・・。北九州・松本・大分との前半戦残り3試合で全勝してこの3チームよりも上に立っていてほしいですね。


ジェフ3−0京都  得点者 (ジ) ケンペス2、兵働

2014年6月8日日曜日

ケンペスの「脆弱性」・・・(第17節アビスパ福岡)

  朝に代表のザンビア戦を見てて、テンション高いはずの日本があっけなく2失点。ザンビア代表のメリハリのあるパスワークはなかなか見もので、パワーのあるボランチかフォアードを、ぜひこの夏に・・・なんて思ってしまいました。中西永輔、ミリノヴィッチ、巻誠一郎と続き、いよいよオシム・ジャパンが南アフリカを目指し始めた頃までは、ジェフとW杯の関係は非常に良好だったのですが、今回は・・・ミリガンがグループBという「無理ゲー」に挑むのがちょっとした楽しみですね。もちろん日本にはわざと「C組2位」になって決勝進出を伺って貰いたいです。決勝でブラジル倒しての「優勝」も川島さんの出来次第では無いことも無いと思うのですが・・・。

  さて今節のジェフは・・・代表のザンビア戦4得点と比較なんてとてもできないほどの、「貧し過ぎる」内容でした。福岡は曇りで絶好のコンディション、ジェフの苦手な「レイニー・マッチ」は避けられたのですが(関東地方は大雨)、「レベル5スタジアム」ってキャパがあり過ぎなせいか、6000人程度の観客でもなんだか寂しい雰囲気が画面から伝わってきます。なんかジェフが躍動しなさそうな予感がゲーム前からありました・・・。

  前節までのひたすらに相手を圧倒するパスワークを見せてきたこともあり、福岡ももちろんジェフを研究済みで、フルコートプレッシングを仕掛けてきます。それでも試合序盤はチームワークというか相互の信頼関係から、狭いスペースでも臆することなくボールを繋ぐジェフが見られましたが・・・。前半の10分までにケンペスの悪いクセとも言える、中盤に下がってのパス回し参加から、立て続けにケンペスがロストを繰り返し、挙げ句の果てに相手の老練な古賀選手の挑発にノってしまい退場一歩手前の派手な大立ち回り。これで完全に勝ち運が逃げたようで、あとは森本の幻のゴールを除けば、ダメな方の「ため息」の連発でした。

  ブラジル人なのに攻撃陣で一番テクニックが無いケンペスのポジショニングは、しばしばジェフのプランを台無しにする波乱要素です。かつてジェフで活躍したオルデネヴィッツや崔龍洙もケンペスと同じような足元のテクニックに乏しい選手でしたが、コンスタントな活躍でジェフの歴史にその名を刻みました。もちろんケンペスもオルデネヴィッツ以来の得点王を昨年獲得しました。しかしJ2得点王にも関わらず、ガンバや徳島といった昇格チームから声がかからなかったのは、チーム戦術における器用さに難点があると判断されたからかもしれません。

  それでも私はケンペスの、その「人情味」溢れるファイトスタイルは好きです。オルデネヴィッツや崔龍洙が示した役割に徹するプロフェッショナルな姿勢はもちろん素晴らしかったですが、ケンペスのような「波」があって「不器用」な選手は不思議と感情移入ができます。活躍すれば共に笑い、ノーゴールで負ければ共に涙して、余計なイエローカードを貰えば「何やってんだ〜」と野次りたくなる・・・。そんなジェフの試合がやっぱり好きなんですよね。

  さて、ジェフの掲示板で井出・大塚の両名が叩かれてました。井出は確かにフィニッシュのシーンで慌てる辺りにまだまだ若さを感じますが、前を向いてボールを持ったときは、兵働・谷澤・大塚よりもプレーの幅があってワクワクします。これでケンペスに決めさせるラストパスが出せるようになったら、完全にチームの顔になれると思います。大塚は今節もケンペスに決定的なパスを供給するなど、毎試合コンスタントに「決めるだけ」のラストパスで魅せてくれていると思います。課題としては攻撃時にケンペスとの位置関係が悪いケースが多いことでしょうか。ケンペスだけでなく、井出や谷澤とフィニッシュのシーンで「被る」というシーンが減れば、自然と結果がついてきそうな気がします。

  さて次節は難敵の京都をフクアリに迎えます。前半戦を終えたときにきっちりとプレーオフ圏内に入っておくためにも、絶対に勝ち点3が欲しいです。攻撃陣には工藤・山瀬・大黒といった技術と経験を兼ね備えた実力者が揃いますが、守備陣に安定感がなくジェフと同じくらい中位を彷徨っています。福岡戦よりはチャンスも多く作れそうな予感がします。負けたら「チェンジ」がルールと成りつつあるジェフのスタメンにも注目したいです。


福岡1−0ジェフ   得点者 (福) 金森

  

2014年6月7日土曜日

谷澤達也&テクニカル・ボーイズはどこまで通用するか? (第16節愛媛FC)

  ゲーム序盤での「つば迫り合い」から、最年少の井出が物怖じせずにアジリティを発揮して、完全にジェフペースのままの90分でした!見ていてジェフのパスワークに「ワクワク」するも、相手ゴールキーパーの奮闘でセットプレーからのケンペスの1ゴールのみに終わったことに課題が残ります。それにしても井出の「リードオフマン」的な働きは素晴らしい!ジェフの他の選手も自然と躍動を始めます。さらに実質的に「ルーキー」のプレーヤーにここまでやられたら、どんな相手でも浮き足立ちますよね・・・「誰だアイツは?」未知なるプレーヤーに対する恐怖感はジェフも痛いほどよくわかっています。昨年の幸野選手(長崎)や清水選手(岡山)に遭遇した時には、チームの混乱ぷりが・・・。

  「谷澤の法則」というのがありまして、本人も無意識にやってしまっているクセなのかもしれませんが、「足元が下手な選手にはパスを出さない」傾向があります。ちょっと失礼な話になりますが、テクニックよりもスピードやパワーに長けているケンペスや田中が、谷澤からのパスで決定的なシーンを迎えるのをあまり見た事がありません。その一方で井出の決定機のほとんどは谷澤からのパスだと思います。そもそも去年までの谷澤にパサーとしてのイメージなどほとんどありませんでした。両SBの米倉・高橋へのパスは、谷澤の選択肢では一番下に置かれているかのように、積極的ではなかったですし・・・。

  ましてや谷澤と逆のサイドでプレーする事が多かった田中とのパス交換なんてほとんど無かったのですが、今年に入って反対サイドを務める井出へのパスは多いのです。これじゃあケンペスや田中がイライラして自分のプレーができないのも納得です(昇格できないのも・・・)。さて井出が谷澤とのコンビネーションで頭角を現し、さらに中村も谷澤のサポートを受けて伸び伸びと左サイドを駆け上がっています(パスが来ないことも多いですが・・・)。

  さらにベテラン谷澤の秘めたる能力を引き出しているのが、「天才トラッパー」大塚で、谷澤がボールをこねくり回す展開に陥らないように、素早くポジションを寄せます。町田に勝るとも劣らないセンスでワンツーを返してくれる大塚は、谷澤にとっては井出と並んでお気に入りのようで、谷澤の選択には「中村よりも大塚」という傾向が見られます。大塚・井出と2列目を形成する谷澤にとっては、まさに「谷澤軍団」みたいなやり易さを感じているように見えます。

  しかも「谷澤軍団」はベンチにも控えていて、最近ではリードしている展開でも町田・山中・ナムスンウという「ベンチ谷澤軍団」が投入されることが多いです。ただし井出や大塚よりも先に谷澤が交代になることもあるので、親分・谷澤と十分に絡めないメンバーもいて「軍団」の実力の全貌はまだ明らかにされていません。「軍団」の5人の若手プレーヤーはいずれも類希な才能を持っているのですが、なぜか谷澤がピッチからいなくなると、突然に機能しなくなったりします。なんとも不思議な「谷澤現象」だなと思います。

  さて、「オレたちって、間違いなくJ2で一番上手いよね!」とか言ってそうな、ナルシストなプレーを連発する「軍団」ですが、まだ半分以上の日程が残るシーズンを最後まで自信満々に突き進むことができるでしょうか?主導権を握られて完敗したジュビロや湘南相手に見事に雪辱してくれるだけのポテンシャルはありそうです。親分・谷澤が試合に出られなくなった時がちょっと心配ではありますが・・・。


ジェフ1−0愛媛  得点者 (ジ) ケンペス

2014年6月6日金曜日

大岩一貴 の力が発揮されるポジション(第15節横浜FC)

  いよいよチームが本格化してきたところで、エースの出場停止で・・・スコアレスドロー。横浜FCのCBコンビ(ドウグラス選手と野上選手)の高さとスピードに、ジェフのテクニシャンばかりを集めた攻撃陣では「歯が立たなかった」印象は否めません。「香川真司」を前線に4人置いたチームがあったとして、それが欧州で通用するか?というと絶対に無理だと感じてしまいますが、今回のジェフの闘いぶりはまさにその「実験」を実際にやってしまいました(そして見事に失敗しました!)。

  ジェフの首脳陣の一人である江尻コーチは、バルセロナが欧州の権威だった頃のサッカーにかなり傾倒していると言われています。もしかしたら、「J2のバルサ」を気取ったスタメンだったのかもしれませんが、いくら才能豊かとはいえ、メッシやイニエスタのように個人の力でいくらでも打開できるほどの「絶対的サッカーセンス」があるか?といわれれば・・・残念ながらそこまでは達してないです。一番バルサらしい動きができるのは、ベンチに座っていた山中選手じゃないかという気も・・・。

  それでも全くノーチャンスというわけでもなく、2−0くらいで勝っていてもおかしくなかった。兵働・谷澤・大塚・町田の4人が欧州サッカー並みのミドルシュートの射程と正確性を持っていれば、ジェフがかなり実現できている高い「ポゼッション」率がそのまま圧倒的な破壊力につながりそうな予感はありますが・・・。ポゼッションに関しては、兵働&佐藤(健)の「ダブル・レフティ・ボランチ」が今のところは効いています。相手チームも守りにくくて仕方がないといった感じです。

  さらに左サイドを制圧する中村は「1対1の強さ」を武器にジェフの原動力になっていますが、ここ数試合で右SBを務める大岩が伸び伸びとアタックを仕掛けるようになり、両翼のバランスがとれてきました。大岩もドリブル技術こそ中村には及びませんが、持ち前の身体能力で相手のプレッシャーに怯まず、高い位置でもボールを支配できています。右足のクロスならば精度も中村に劣らず素晴らしいものがあります。さらに今年に入って(去年もだけど)相手のカウンターからの失点を重ねていた右サイドも、大岩とキムヒョヌンがことごとく防いでいて、驚くほどにピンチのシーンが減りました。もちろん決定的チャンスを作られることもありますけど、あの湘南戦での屈辱的な敗戦を喫した頃の守備とは見違えるほどです。

  江尻コーチが監督を努めていた頃から、追い求めていた「ジェフのバルサ化構想」に対してファンからも「身の程を知れ!」みたいな批判も浴びせられましたが、今改めて、鈴木=江尻体制の元で集められた選手達(山中・中村など)を見て、「何かを期待するのも悪くないかも!」といった気持ちが湧いてきます。さらなる「バルサ化」に向けて、やはりプジョルやピケのような「最終ラインのスター選手」を育てる必要がありそうです。CKからの決定力や、こぼれ球を相手ゴールに叩き込むミドルシュート、最終ラインからのロングフィードで決定機を演出するといった「華々しい活躍」ができるディフェンダーが求められます。

  前半終了直前に見せたキムヒョヌンのミドルシュートもこれまでには見られなかったプレーです。Jリーグ初ゴールを決めてからいよいよ自信を持ったプレーがどんどん期待できそうです。そしてなによりプジョル、ピケと言えば「1対1」における圧倒的な強さです。キムヒョヌンと大岩この2人が今後のジェフのさらなる進化を担っていると感じられるゲームでした・・・。