2013年7月21日日曜日

「大塚ジェフ」と「宇佐美ガンバ」の終盤戦に突入の予感(第25節愛媛FC)

  ガンバとヴィッセルの首位攻防戦の前半を見ていたが、復帰初戦の宇佐美選手が早くも大暴れしていた。それほど派手なプレーは無かったが、やや失速気味だったガンバを再加速させる予感がプンプンしていた。ジェフのゲームが始まり、オンデマンドを切り替えると、いつも通りのジェフの「省エネ」型の前半が展開される。同じJ2でこれだけ温度差が変わってしまうのか・・・と、ややがっかりもするのだが、結果を出し続けているジェフのチーム戦術をサポーターも熟知しているので、不満があるわけではない。勝ち点3を必ず取りたいゲームでシュートが1本も打てずに20分以上が過ぎる。それでもジェフのペースとすら思えてしまう不思議な感覚がある。

  ほぼ同内容の前半を見せつけて5連勝を達成してきたジェフは2003年頃のオシム時代に匹敵するような「勝負強さ」を持っている気がする。端的に表現すると「ドMな前半」と「ドSな後半」のギャップで相手チームも訳分からない内に負けていく印象だ。前半は圧倒的に優勢だった相手サポーターをも、「今日は運がなかったな」と妙に納得させてしまうほどの絶妙なゲーム展開なのだ。両チームのサポーターはそれでいいだろうが、前半の冷めた内容を見せつけられるのはちょっと納得が行かない気もする。チケット料金を半額にすべきか?

  もしかしたら6連勝をいいことにジェフを買いかぶり過ぎているのかなという気もする。つまらない所でボールを失うケースが多く、DF陣とGKの岡本選手の奮闘が光る時間帯が続く。愛媛FCには失礼だが、もしもっと決定力がある相手だったら、一気に畳み掛けられていたかもしれない。結果的に米倉選手の決勝点で辛くも勝利をものにした。やはり米倉選手はスターだなと思うが、今日の最大のプレーはその直前に相手GKに弾かれた大塚選手の決定機だったように思う。チャンスらしいチャンスもなかったジェフが突然に見せたビッグプレーだった。ケンペス選手のポストからダイレクトにグランダーの縦パスが出てくる、抜け出した大塚選手がまるで香川真司選手かと思わせるような完璧なトラップでボールを置くが、シュートがやや甘くGKに弾かれた・・・。ちょっと残念な展開ではあるが、こんな凄いプレーが飛び出すと当然のようにチームのスイッチは入る。

  香川真司選手が加入した直後のドルトムントは、今とは違って無名選手の寄せ集めで今のセリエAのラツィオやパルマのような中堅チームに過ぎなかった。ゲーム展開も劣勢のものが多かったが、そんなチームに突如スイッチを入れるのが香川選手の役割だったように思う。今日の大塚選手のプレーには、どこかドルトムントの香川選手の面影があった。ご存知のようにドルトムントはシーズン2連覇を果たし、香川選手が抜けた今年もさらに成長しCL決勝にまでコマを進めた。香川選手を獲得した2010年の段階でこの状況を誰が予想しただろうか。

  もちろんドルトムントの選手達は無名ではあったが実力もあったのは確かだ。今ジェフでも米倉選手や田中選手、佐藤(健)選手などが脚光を浴び始めている。これらの選手が自信を持ってプレーするようになってからジェフはだいぶ強くなったように思う。そのスイッチを入れたのが大塚選手なのではないかと思う。開幕当初からナムスンウ選手やジャイール選手のきらめく才能の前に、正直言って大塚選手に期待を寄せる声は少なかったように思う。これもまるでドルトムント入団時の香川選手のようだ・・・。

  大塚選手のトラップを見て米倉選手にスイッチが入ったように思う。セットプレーのキッカーが伊藤選手になると、ここぞという局面で米倉選手はボールを要求することがある。ケンペス選手・山口(智)選手・竹内選手の3枚を囮に使って1本目のCKから米倉選手に合わせてくるとはいくらなんでも相手も想定外だろう・・・。

 モンテディオ山形0−3ジェフ千葉  得点者 山口(智)・大塚・ケンペス

スタメン
GK岡本 7.5☆(今やJ2だけでなく日本で一番ノっているGKか?無失点で勝利に大貢献)
DF米倉 6.0△(伊藤選手とのサインプレーで得点をもぎ取っていく"支配者"っぷりに脱帽)
DF竹内   6.0△(キムヒョヌンの出場停止も、代役として無難に相手をシャットアウトした)
DF山口(智)    6.0△(愛媛・伊藤選手のキレにも全く動じず、完全に復調した)
DF高橋    5.5▲(もっと大胆不敵に切り込んでゴールを狙っても良いのでは?)
MF佐藤(健)   6.0△(集中力もスピードもある欠かせない中堅選手)
MF伊藤  6.0△(セットプレーキッカーとして試合を決める力を今節も証明)
MF大塚   6.0△(パス・トラップ・ボールキープに加えて守備も上手くなってきた、J1復帰なら代表か?)
MF谷澤    5.0★(ちょっとコンディションを崩しているようで、キレがない。抗議シーンばかりで画面に登場)
MF田中   5.5▲(最終ラインから最前線まで米倉選手以上に多く顔を出す。ミスが減れば良いが・・・)
FWケンペス    6.0△(ゴールは奪えなかったが、相手にとって最大の脅威だった。)

交代
MF佐藤(勇)  5.0▲(左サイドに投入され、どうやら鈴木監督お得意のコンバートか?)
DF大岩 
MF山口(慶)    

2013年7月15日月曜日

2試合連続3-0なんてJ2戦歴でもほとんど無いのでは?(第24節モンテディオ山形)

  5連勝してしまった。決して相手を圧倒する展開ではなくて、どっちに転んでもおかしくないゲームだった。去年までなら負けていたようなゲームをことごとくモノにしているから驚きだ。この山形戦は前節のガンバ戦以上にチャンスが少なかった。いつものパス回しもかなりぎこちなくて、有効なパスがつながる展開がまったくできなかったが、相手の攻撃をキムヒョヌン選手が跳ね返し続け、田中選手と佐藤(健)選手がなり振り構わず追い回したことで、相手も攻撃のリズムができなかったようだ。

  とにかく見ていて眠くなってしまうゲームで、熱狂的なジェフファンでないとまったく楽しめないというのはプロサッカーとしてどうかという思いはある。3-0になった終盤にゾロゾロと帰り始める山形サポーターの怒りに満ちた行進はモンテディオの負け以上に、つまらないゲーム展開が原因だったように思う。Jリーグが必死に推進している「アクチュアリープレーイングタイム」がジェフはJ2で2番目に長くてモンテディオは下から2番目だそうだが、先週のガンバ戦とまったく同じスコアだったにも関わらず印象は全然違った。やはりリーグ1番目2番目のチームのゲームとなれば最高に楽しい。先週はそこまで感じなかったがこのモンテディオ戦を見て、改めて先週のゲームが「興行的」にも優れた素晴らしいゲームだったのだと再認識した。

  前回の対戦でいいようにやられたロメロ・フランク選手をチーム一丸となって封じ込めて決定的な仕事をさせなかったのが、ジェフとしては一番評価されるポイントだろう。ケンペス選手がガツガツと体を張って勝負を挑んだので、前回とはまったく勝手が違ったようで、今回のロメロ・フランク選手にはまったく怖さがなかった。また前回はフクアリで完全に走り負けたサイドは、前半からかなり自重してスペースを相手に与えない作戦を遂行した。今回はサイドの裏を獲られて抜けだされるシーンがほとんどなく、米倉・高橋の両選手が必死に喰らい付いてくるなかでは、そうそう簡単には攻撃の形にはならなかった。その分ジェフも全く攻撃に人数を割く事ができず、山口(智)選手の機転で早いリスタートからの大きな展開が上手くハマって先制できたから良かったものの、0-0のまま終盤に突入していたらスコアレスドローで御の字だった。

  今日は3点目にケンペス選手が得点してくれてとても良かったと思う。1点目も2点目もケンペス選手の泥臭い頑張りの結果から生まれたゴールなので、実質的にはハットトリックと言ってもいいくらいの活躍だった。今日はジェフの中でひと際体調が良かったようで、狭いスペースでもボールをしっかり収めていたし、高い位置でのインターセプトも度々あった。シュートチャンスではことごとく左足のコースが切られていて、すべて逆足だったがとても良いシュートが飛んでいた。ここまで頑張ってくれれば鈴木監督もお気に入りのナムスンウ選手を投入することを躊躇ってしまうだろう。2トップの位置にケンペス選手と大塚選手が入りナムスンウ選手が控えていて、出れば3人ともゴールしてしまうくらい調子がいいので、期待の井出選手や町田選手を実戦でなかなか使えないのが辛いところだ・・・。




 モンテディオ山形0−3ジェフ千葉  得点者 山口(智)・大塚・ケンペス

スタメン
GK岡本 6.5△(一時期の不調を完全に脱したようだ。パーフェクトゲームでは?)
DF米倉 6.0△(戦術的に低い位置にいたためにあまり目立てず。効果的なボールキープは頼もしいが・・・)
DFキムヒョヌン   6.5△(J2屈指の大型ストライカー林選手をほぼ完封した!)
DF山口(智)    6.0△(ベテランらしい機転からの先制点でチームに勝ちを引き寄せたのは見事)
DF高橋    5.5▲(左のワイドからの展開のショボさから、相手チームにナメられている。)
MF佐藤(健)   6.0△(古巣対決で安定したプレー。米倉選手へのサイドチェンジでもっと魅せてほしいかも。)
MF伊藤  5.5▲(ガンバ相手に大胆不敵なパスを連発した前節がウソのように沈黙。)
MF大塚   5.5▲(2点目は見事だが疲れもあるのかキレがなかった。ケンペスの「おこぼれ」だけでは・・・)
MF谷澤    5.5▲(序盤のケンペスからの気持ちの籠ったパスに応えられないのはプロサッカーとはいえない)
MF田中   6.5△(運動量が目立って多い。攻撃面は見るものが少なかったが勝利に貢献)
FWケンペス    6.5☆(今日は孤立気味ながらも十分な仕事が出来た。3点を演出したのは立派。)

交代
DF大岩 
MF山口(慶)    
DF竹内





  

2013年7月10日水曜日

ガンバ・ヴィッセル・サンガに無敗でシーズンを勝ち抜けるか?(第23節ガンバ大阪)

  やはりというか、ジェフは戦力が整った相手と戦うとやたらと強いです。J2に落ちてから天皇杯でのJ1チームとの対戦成績は勝ち越していることからもそれは証明されています。柏レイソルやFC東京がJ2を独走したシーズンだってこの両チームとの直接対決はまったくの五分に持ち込んでいるほどです。そしてこのガンバ戦もまたそんなジェフの特徴が最大限に発揮されたゲームになりました。

  スコアこそ3-0の完勝ですが、内容ではそこまで差はなかったように思います。試合開始直後からガンバの想像を絶する早いパス回しの前に、まったく対応できないジェフは次々にチャンスを作られました。そのピンチの時間帯に獅子奮迅の働きでガンバの攻撃を跳ね返したのが、キム=ヒョヌン選手と山口智選手の両CBです。キム選手が潰しに行き山口選手がカバーするという明確な役割分担もはっきりしてきて、コンビが良くなってきて頼もしコンビになってきています。パウリーニョ選手のミドルはいよいよやられたかと思いましたが、これが幸運にもバーを叩くと直後の反撃から米倉選手があっさり先制に成功してガンバの出鼻をくじきました。

  最近のジェフのカウンターは去年以上に凄みが出て来たように感じます。特に相手の少なくなった守備陣は米倉選手のサイドをケアするために1人取られるので、中央の人数はさらに手薄になります。米倉選手も1対1の強さはJ2最強レベルと言っていいほどに急成長を遂げていて、特にカウンターの局面でボールを受ければほぼ確実にビッグチャンスを演出してくれます。要するにJ2のDFでは米倉選手を1人ではまず止めきれなくなっています。代表の今野選手とのマッチアップなどあれば面白いと思ったのですが、このゲームでの今野選手の相手は元ガンバで注目されていた大塚選手でした。

  大塚選手もスタメンに定着しつつあり、ゲームにもかなり慣れてきてプレーのクオリティがどんどん高まっているように感じます。とくに伊藤選手と一緒に使われることで相乗効果が生まれているようです。開幕からのスタメンでは兵働選手とジャイール選手くらいしか、米倉選手のサイド突破に効果的なパスを供給できなかったですが、今では大塚選手と伊藤選手がチャンスと見るや米倉選手に綺麗にスルーパスを通してきます。谷澤選手や田中選手から米倉選手へつながる攻撃がとても少なくて、いつもイライラしていたのですがここにきてこの2人は最前線のアタッカーとして米倉選手のクロスに詰める役割になっています。

  大塚選手と今野選手、谷澤選手と加地選手など激しいマッチアップでガンバの主力選手をイライラさせることに成功したのも、勝利に大きく貢献したようです。さらに遠藤選手の不調もジェフにとっては幸いしました。ジェフの待望の追加点はライバル選手の加入でお尻に火が付いた高橋選手のいつも以上の頑張りから、大塚選手がFWらしい綺麗なシュートを決めました。とりあえず様々な要素が徹底的にジェフによって有利に働いたようです。

  ジェフ千葉3−0ガンバ大阪  得点者 米倉・大塚・山口

スタメン
GK岡本 7.0△(再三に渡る好セーブを連発し相手GKより完全に出来で上回る)
DF米倉 7.0△(なかなかのスケールを感じる選手に成長した、香川真司のような輝きがある)
DFキムヒョヌン   7.0△(この数戦のスタメンですでにJ2最強のCBであることを証明した)
DF山口(智)    7.0△(今日は守備での好プレーが目立った、古巣に一撃もさすがスター選手といったところか)
DF高橋    6.5△(勝負を決めた2点目のアシストは見事、更なるレベルアップの予感も)
MF佐藤(健)   6.0△(不動のレギュラーは認めるが、さらに質の高い攻撃力があれば・・・)
MF伊藤  6.0△(セットプレーでの期待感はすでに兵働選手を上回っているかも?)
MF大塚   7.0☆(責任感のあるプレーでチームメートから信頼される前線になりつつある今日は特に良かった)
MF谷澤    5.5▲(加地選手に仕事をさせない粘り腰が一番目立っていた攻撃がちょっと物足りない)
MF田中   6.0△(遠藤選手へのプレッシャーが強烈で守備に貢献)
FWケンペス    5.5▲(このゲームはいまいち乗り切れなかった?)

交代
MFナムスンウ 5.5▲(入ってからガンバのペースになったのがやや残念)
DF大岩    
DF佐藤(勇)