2013年6月29日土曜日

江尻"バルサ"サッカーの完成か?(第21節東京ヴェルディ)

  「パス回しではなくて、ゴールを見に来たんだ!」というスタンドのやきもきする空気を知ってか知らずか・・・。先制点があっさり入ってしまったので、前半はパスの上手さにみんな完全に「酔って」ましたね。それにしてもパス回しだけは恐ろしく上手い、いつからこんなチームになったのか? 来週のガンバ戦も「パスで勝てる」のではというほど自信満々に回していきます。もっともジャイール選手とケンペス選手のいる「パワー&スピード」の攻撃で輝いていた米倉選手の良さがちょっと霞んでいた気もしますが・・・。

  特に上手いのは主力の怪我でスタメンを掴んだ、大塚・伊藤・ナムスンウの3選手で、視野も広くボールロストもほとんどなく、ピッチの中央でも中田英寿のようにボールを受けてました。この圧倒的なポゼッションの成果もあって、前半から守備に奔走したヴェルディの足が後半になって完全に止まりました。このサブ組の「高い技術」に触発されたのか、いつもはつまらないロストを繰り返す田中佑昌選手までもが、「オシャレ」なパスを繰り出していました。米倉・谷澤のスタメン組両選手がイマイチ乗り切れない中で、田中選手は上手くハマっていました、スタメン・サブのどちらともシンクロできるこの選手はとても貴重かもしれないです。

  前半に3−0でリードみたいな展開になれば、町田選手の出番かなと期待したのですが、そんなに甘くはなかったですね。怪我人続出で「野戦病院」の攻撃陣ですが、2トップを組んだ大塚選手とナムスンウ選手がゴールを決めてくれました。ナムスンウ選手は相手のミスを逃さず、ほぼ一人でゴールをもぎ取りました。シュートに行くスピードはケンペス選手並みに優れているので、小柄でも前を向かせたら相手にとって一番怖い選手かもしれません。

  大塚選手のゴールはスタメン組がたっぷりのお膳立てをしたゴールでした。谷澤選手のスルーパスに田中選手が走り込み、相手の3人のブロックに右足のシュートコースを消されるも、なかなかのキレで左から突進して、シュートでそこに詰めた大塚選手が難なくゴールだったのですが、ゴール正面に大塚選手よりも早く詰めてきたのが、「カウンターの鬼」の佐藤勇人選手でした。オシム監督時代から賞讃されて来た得意の「詰め」が相手のマーカーを引き付けていたからこその、大塚選手のゴールだったと思います。

  守備陣でも竹内選手の代わりにスタメンを張ったキムヒョヌン選手が"レジェンド"高原選手を完封したのも大きかったです。カバーリングで不在の時に1失点こそしましたが、キム選手が君臨するジェフゴール前は常にキム選手が制空権を握っていました。このプレーがコンスタントに出来るならスタメン獲得かなという気がします。

ジェフ千葉2−1東京ヴェルディ  得点者 ナムスンウ・大塚

スタメン
GK岡本 5.5△(クロスボールの対応が見ていてちょっと怖い気が・・・)
DF米倉 6.0△(控えめながらも1プレーをしかっりビッグチャンスにつなげる力はさすが)
DFキムヒョヌン   6.5△(ヘディングの強さと速さを備えていて初CBでも頼もしい働き)
DF山口(智)    6.0△(終始落ち着いていて、キムとの連携もとても良かった)
DF高橋    5.0★(果敢なインターセプトを見せていたが、攻撃時に怖さがない、米倉のようなチャンスメークを)
MF佐藤(健)   6.0△(もともとパス能力に定評があり、)
MF伊藤  6.0△(中央でボールを楽々繋ぐ、分厚い攻撃を生み出す原動力)
MF大塚   6.0△(トラップが光る、だがシュートの形をもっと作らなければ再びベンチか)
MF谷澤    5.5▲(米倉からのダイレクトパスへの対応力が魅力、もっと前線で待て)
MF田中   7.0☆(勝利の立役者、体のキレが戻り、チームを何度も救った)
FWナムスンウ    6.0△(もう1点取っていれば文句なしだが、ゴールゲッターとしての素養はまだ未知数)

交代
MF佐藤(勇) 5.5▲(伊藤大介の活躍を見て発奮したようだ)
DF大岩 
DF山口(慶)




2013年6月23日日曜日

伊藤大介&大塚翔平が今シーズンの残りを引っ張る? (第20節徳島ヴォルティス)

  選手のコンディションの関係もあったかもしれませんが、いよいよ痺れを切らした鈴木監督はメンバーの変更に踏み切りました。レギュラー固定によるチームの成熟が思ったほど進まず、むしろレギュラーで出れている現状に満足してしまっていて力を発揮できない選手が多いような気がしていたので、この決断は当然のことだと思います。とくに伊藤選手と大塚選手はチームの中でも技術が高いプレーヤーだと思うので、この2人が同時にスタメンに入った今回のジェフは、前半からパスワークで徳島を圧倒する展開で、どこか去年のチームを見ているようでした(去年の徳島戦は2戦とも圧勝でしたね)。もしかしたら鈴木監督もそのイメージでメンバーを組んだのかもしれません。

  それでもどういうわけか、後半には受け身に周り始め、前半がウソのような劣勢になりました。しかも高橋選手が競り負けて同点ゴールを許すと、一気に勝利が遠のいたような気分でマズいと感じました。しかい予想外にあっさりと伊藤選手が勝ち越しゴールを奪い勝利できました。伊藤選手は去年に兵働選手が加入してから出番を失ってしまいました。小柄な選手が中盤に多くて使いづらい印象があるようですが、鹿島の柴崎選手のようなプレーヤーがジェフには必要だと思うので、そのイメージに一番近い伊藤選手には期待したいですね。伊藤選手も大塚選手も大胆に米倉選手に合わせてロングパスを送っていくので、その点では田中選手や佐藤勇人選手よりも優れている気がします。

  開幕以来のジェフの中盤はどちらかというと、やや古典的で短いパスを多用して数的優位でボールを支配して、スピードのあるサイドのプレーヤーを使うスタイルだったのですが、これが相手チームにもだいぶ研究されていて、得点力が落ちて失速しつつありました。伊藤選手と大塚選手はシュートへの意識も非常に高くて、谷澤・田中・佐藤(勇)の「横パス」大好きトリオとよりも相手にとっては守りにくいと思います。もちろん「ドリブル」の谷澤選手や「裏へ抜けるスピード」の田中選手と「カウンターの鬼」の佐藤(勇)選手とそれぞれレギュラーで出ている理由と言うべき特技があるのですが、その特技がいまいちチームの戦術「ヨネ=ケン」にフィットしていない様子です。


徳島ヴォルティス1−2ジェフ千葉  得点者 兵働・伊藤

スタメン
GK岡本 6.5☆(最近の酷い結果を受けて今日はかなり期するものがあったのでは・・・)
DF米倉 6.5△(前半の早い段階で大塚へ完璧なお膳立てで、早くもチームリーダーの風格)
DF竹内   6.0△(伊藤大介の復活でセットプレーが熱い?2年前のホットラインに期待したいが・・・)
DF山口(智)    5.5▲(ビルドアップで存在感も、守備のミスがまだまだ目立つのでコンディションがいまいち?)
DF高橋    5.5△(ヨネと比べると迫力不足か。ガッツだけでなく、規格外のSBになって代表目指してほしい)
MF佐藤(健)   6.0△(前半は相手を完封する抜群のカバー。スタミナも付いてきて頼もしい。)
MF伊藤  6.0△(ちょっと地に足がついてないプレーもあるが、ヨネとの共闘でより高いレベルを目指せるはず)
MF大塚   5.5▲(ナムスンウに勝るとも劣らないほど上手い。キャラの被った大塚ナム2トップもイケそうだ)
MF谷澤    5.5▲(パスを受ける側になってさらに良さが出るはずだ。期待して待とう。)
MF兵働   6.0△(もっとゴールが取れそうなプレースタイルなので決定力がさらに上がるといいな。)
FWケンペス    5.0▲(調子は悪くなかったし、前半のチャンスで1本決めていれば・・・。)

交代
MFナムスンウ 5.0▲(意外と良さが発揮できないのが歯がゆい。足元で持たせれば谷澤級なのだが・・・)
MF田中 5.5▲(左サイドは不適格で右要員になったもよう。ジャイール並みにサブでも光るところも魅力。)
DFキムヒョヌン ー(安定のクローザーだが、そろそろ大きな出番がやってきそうな気が・・・)

2013年6月9日日曜日

米倉の進化こそがジェフの未来!?(第18節ヴィッセル神戸)

  2013年のJ2を英プレミアリーグになぞらえると、ガンバ大阪が「マンチェスター・ユナイティッド」でヴィッセル神戸が「マンチェスター・シティ」といったところでしょうか。大阪はかつて繊維工業の発達で「東洋のマンチェスター」と呼ばれた都市なので、ちょうどイメージがぴったりです。対して東京(ロンドン)の近郊のチームのジェフ千葉は「トッテナム」かな?(チェルシーではないな・・・)

  今節の相手は「マンC」ことヴィッセル神戸で、リーグ最強といえるフィジカルを誇る「マッチョな」チームです。スタメンは全員J1強豪でもレギュラークラスばかりで、助っ人外国人は質・量ともにJリーグ最強レベルと言えます(ガンバもジェフも遜色ないが・・・)。ただそこは所詮「マンC」ということで、戦術面での完成度が低く個人の力に依存している様子も見て取れます(失礼!)。前半はシュート0に押さえ込まれたジェフでしたが、観ていてなぜだか不思議と負ける気がしませんでした。神戸にセットプレーから先制を許した後も、後半逆転できるだろうと気楽に構えていました。

  そう感じた一番の理由が、神戸の戦い方に「強者の奢り」があるように思えたからです。J2で4年目になるジェフはほとんどの試合において、一応は「格上」と見做されることが多く、対戦相手は常にジェフを警戒して守備的に布陣してくるので、その戦術の前に幾度となく苦杯を飲まされてきました。しかし、中には柏レイソルやFC東京のように「強者の戦い」を仕掛けてくるチームとの対戦もありました。意外なことに、シーズン通しての成績は多きく差は付けられたものの、柏にもFC東京にもJ2での直接対決では決して負け越してはいないのです。J2の舞台で格上と当たるときのジェフは「異常なほどに」強いです。今期もガンバ大阪にも京都サンガにもアウェイ戦で果敢に攻撃を仕掛けて、撃ち合いの末、引き分けを演じています。残る神戸・ガンバ・京都とのホームゲームでも「強豪キラー」ぶりを見せてくれると思います。

  ヴィッセルもジェフも奪ったボールを特に出しどころがない時は、ショートパスからの攻め上がりを選択する傾向にあります。ジェフはこれまで幾度となく、そのパスを中盤でカットされての失点に泣かされてきました。今年に入ってからは特に多いように感じます。このゲームでのジェフの2得点はヴィッセルが冒したミスに逆に付け込む形になりました。「人の振り見て我が振り直せ」ではありませんが、ジェフにしろヴィッセルにしろ、中盤のボールの回しかたが「古い」気がします。パススピードや精度よりも、選手の距離感ばかりを気にしている様子です。そんな単調なパス交換の応酬で試合が進むなか、相手の守備陣を切り裂いた、米倉のクロスとロングパスはとても鮮やかでした(トッテナムのベイルのようでした。移籍はしないでね!!)。

ヴィッセル神戸2−2ジェフ千葉  得点者 ケンペス2

スタメン
GK岡本 5.5△(セーブというよりゴールポストに守られた感じが・・・)
DF米倉 7.0☆(J2アシストトップは伊達ではない、さらなる進化を見せて代表の右サイドを奪え!)
DF竹内   5.5△(カバーリングが冴えていたが、失点0にしないとなかなか喜べないです)
DF山口(智)    5.0▲(神戸のフィジカルに経験で対抗してほしかったが・・・)
DF高橋    6.0△(米倉の活躍の影にかくれたが、逆サイドを駆け上がって攻撃の左右バランスを保った)
MF佐藤(健)   5.5△(前節はこの人の不在が全てだったのかもしれない、今や守備陣で信頼感抜群だ)
MF佐藤(勇)   5.0▲(強敵相手に強さを発揮するタイプなので、ゴールまで期待したが)
MF田中(佑)   5.5△(囲まれると良さが出ないが、抜け出すプレーは光る、あとはケンペス級の決定力があれば)
MF谷澤    5.0▲(そろそろプレースタイルの変化が必要か、最前線にいれば相手もビビるはずだが・・・)
MF兵働   5.0▲(決してプレーの質は悪くないが、もっと決定的な仕事を!背中の10番が泣いている)
FWケンペス    6.5△(「格下専用機」ではないことを証明した。来月のガンバ戦でもぶちかまそう!)

交代
MFナムスンウ 5.0▲(勝負強さはまだまだプロ経験が浅いので仕方ないが、素質十分なので早く覚醒を!)
MF伊藤 5.0▲(ジェフの中盤を変革させるだけのスキルがある筈、レギュラー奪え!)
DFキムヒョヌン 5.0▲(神戸のイグァンソンのような強さが頼もしい、そろそろCBでスタメンか?)